SDGs探究Library

SDGs探究AWARDS2023

株式会社アーバンリサーチ

この度、SDGs探究AWARDSに協賛いただいている株式会社アーバンリサーチの宮さんに会社設立の背景やSDGsへの取り組みなどについてお話を聞く機会をいただきました。

URBAN RESEARCH

「すごいをシェアする」
~ファッションを通じて皆様にワクワクを~

株式会社アーバンリサーチはファッション業界を牽引するアパレル企業。「すごいをシェアする」という企業理念のもと、メンズ・レディースウェアの製造販売の他、時代の移り変わりと共にさまざまな事業を展開。また、サステナブルなファッション産業への移行へ貢献することを目的とし、全社横断的なサステナビリティの取り組みを推進しています。

株式会社アーバンリサーチ 宮さん

宮 啓明

株式会社アーバンリサーチ
SDR(サステナビリティ推進)シニアチーフ

販売員、販売促進担当を経て、社全体のサステナビリティを推進する部署に配属。
ファッションの分野だけでなく、社会・環境課題に貢献できることを日々模索しながら活動しています。

柔軟な姿勢でチャレンジを応援

―御社の事業内容についてお聞かせください。

宮さん

「アーバンリサーチの前身は、1974年大阪府門真市に開業したジーンズカジュアルショップです。そして2001年、社名をアーバンリサーチに変更し、現在に至ります。アーバンリサーチはメンズ・レディースウェアを始めとする商品の製造・販売をしています。さらに、近年では飲食・宿泊事業などさまざまな事業を展開し、アーバンリサーチとしてお客様のライフスタイルをトータルに提案しています。ここ2年くらいで、世の中の状況が大きく変化したこともあり、EC事業が大きく拡大しましたが、実店舗は色々な事業を含め全国に200店舗ほど展開しております。また、SDGs達成に貢献するためさまざまな取り組みを行うなど、サステナビリティに積極的に取り組んでいます。」

―御社が事業を展開する上で大切にされていることを教えてください。

宮さん

「当社は<すごいをシェアする>という企業理念を掲げています。ファッション業界で活動している企業として、ファッションの元々の価値であるワクワクする気持ちであったり、ポジティブな感情が、<すごいをシェアする>という言葉に込められており、皆さんにファッションを通じて前向きな気持ちになってもらいたいという想いを大切にしています。自社にいながら、「ワクワクを提供している/チャレンジングだな」と感じることは、数年前にすごく話題になったのですが、洋服の試着システム<ウェアラブル クロージング>の開発です。当時はまだ技術的に新しく、洋服を試着することなく自分が着たらどんな感じに見えるのかを体験できる端末でした。個人的には、面白い取り組みだったなと感じています。アーバンリサーチでは、年齢やキャリアに関係なく柔軟に面白いと共感してくれたものに対し応援してくれる(バックアップしてくれる)ので、そこがすごく素敵なポイントだなと思います。また、<柔軟性>も大切にしています。時代が移り変わり変化する中で、生活雑貨の取り扱いを始めたり、飲食、バーバーの運営など幅広く展開している点は柔軟に世の中を見通して経営しているポイントなのかなと思います。2019年には宿泊事業を開始し長野県茅野市にキャンプ場を併設した宿泊施設<TINY GARDEN 蓼科>もオープンしています。」

宮さん

アパレル企業としてのSDGs達成に向けた積極的な取り組み

―サステナビリティに対して、さまざまな取り組みをされていますが、その背景について教えてください。

宮さん

「ファッション産業は、世界で2番目に環境負荷がある産業だと言われている現状があります。その背景には大量消費・大量生産の業界構造が大きく影響しています。多くの洋服が捨てられる、洋服を作る時の環境負荷が大きい、リサイクルが難しいなど、ファッション業界はさまざまな課題を抱えている状況です。そうした状況の中、業界全体として今、課題解決に向けて多くの取り組みが進められています。こういった課題は、1つの企業ではなかなか解決ができない大きなものですので、ファッション業界全体ひいては社会全体で積極的に考えるべきととらえております。」

―御社のSDGsに関する取り組みについて具体的にお聞かせいただけますか?

宮さん

「アーバンリサーチでは、SDGsというものを積極的に支援していきたいと考えています。その中でアパレルの企業として<3C>という頭にCがつく3つの方針を掲げています。<Clothing Innovation><Clean Earth><Community Building>です。例えば<Clothing Innovation>では、洋服を作る時の環境負荷に配慮した商品をお客様に提供することに取り組んでいます。また、長く使用した洋服を、黒く染めさせていただき、さらに長く使っていただくための提案も行っています。それでも着られなくなった時には、リサイクルすることになりますが、実例をご紹介させていただくと、当社は<Green Down Project>に参加し、羽毛製品の回収とリサイクルされた羽毛での商品企画に積極的に取り組んでいます。この羽毛製品の回収については、2015年から長くさせていただいているので、お客様からの支持もいただいております。また自社の洋服の回収も関西の店舗を中心に行っています。さらに一部の店舗でリユースの洋服販売を始めました。一般社団法人 ミライバトン研究所と連携して活動しているのですが、リサイクルに回す前にまだ着られるものはしっかり着ていただくということを提案する取り組みです。古着バトンで販売した収益は国内の貧困などに悩む子供を支援する団体にミライバトン研究所を通して寄付させていただいています。このようにできる限り、長くお客様にご利用いただくとともに、できる限り廃棄にせず、リユースできるようさまざまな取り組みを通じてSDGsに貢献できるよう取り組んでいます。」

宮さん

―その他、さまざまな取り組みをされていますね。

宮さん

「<Community Building>でいうと、<JAPAN MADE PROJECT>というものを行っています。今、コロナを経て、ライフスタイルの変化もあり、さまざまな地域の魅力が見直されています。各地域のおもしろい方々と一緒にその地域の魅力発信し、その地域の関係人口を増やすことに貢献することを目指す取り組み、それが<JAPAN MADE PROJECT>です。例えば宮城県石巻市では<FISHERMAN JAPAN>という団体と連携し、島国である日本の重要な産業である水産業の担い手を増やすための活動を一緒にさせていただいています。具体的には水産業は<かっこいい>というイメージを醸成することを目指しており、現地では同団体と私たちで提案している漁師ウェアを着て漁に出ている方もいます。日本は島国なので水産業と切り離せない国なんですけど、今まで漁師さんというと、しんどいなどマイナスのイメージがあり担い手がどんどん減っていました。その担い手を増やすため、ファッションを通じて、イメージを変えていきたいです。どの地域で実施するプロジェクトも、しっかりと時間をかけながら地域の方と一緒に考え、ゴールを設定し密にコミュニケーションを取りながら、地域の課題解決に貢献することを大切にしています。また、アーバンリサーチグループで環境・社会課題に向き合うブランドとして<THE GOODLAND MARKET>があります。20年近くアーバンリサーチ堀江店があった場所に店舗を構えていて、新しい価値観を提供するブランドとして、デザインなど外見的なかっこよさやお洒落さはもちろんなのですが、課題と向き合うことで生まれた商品やブランドストーリーを知り、そういった商品を手に取っていただくことで、内面的な部分でも充足感・満足感も感じていただけるような商品を<衣><食><住>の軸で提案しています。 僕個人としては、「大阪一、いや日本一かっこいいお店なんじゃないかな」と思っています。SDGsについては、今後も色々な社会課題・環境課題がまだまだあるので、企業としてしっかりやっていきたいですね。特に大きなテーマであるファッションロスや洋服を作る時にかかるエネルギーのことなど、1つでも多く具体的にアクションを増やしていきたいと考えています。」

THE GOODLAND MARKET店舗写真

学生に対して学びの機会を提供したい

―今回SDGs探究AWARDSに協賛いただいた背景をお聞かせください。

宮さん

「当社も、未来ある学生の皆様と連携して一緒に物事を考えていくという活動として洋服の学生コンペなども実施しています。その目的に、学生に対しての学びを提供できたらという思いがあります。洋服の勉強をしている学生の皆様がコンペの対象としては多くなるのですが、その中でファッション業界の課題(洋服を作る時にはこういう事を考えないといけないなど)を知る気づきの場になればと思いデザインコンペを行っています。そういう視点でみると、SDGs探究アワードが自分で課題を見つけ深堀りし、それを発表するという所に学びが溢れていて当社と共感することがありました。ですので、私達もアパレル企業として何かしらファッション業界の課題や社会全体について学んでいただけるきっかけになればと思い、ご協力させていただきました。」

―ご提供いただくcommpostについてお聞かせいただけますか?

宮さん

「commpostは、アーバンリサーチが企業活動を行う上で、ご試着の際に化粧がついてしまうことなどが原因で、お客様に提供できなくなってしまう洋服があるのですが、洋服の廃棄を減らしたいという想いと、障がいを持たれている方への雇用にもしっかり対応していきたいという想いが合わさって生まれたブランドです。commpostは<Colour Recycle Network(カラーリサイクルネットワーク)>さんと協働しているのですが、まず廃棄になった洋服をお渡しし、生地にしていただきます。それを就労困難な方や障がいを持たれている方に縫製をお願いするという流れです。縫製は、大阪や兵庫にある就労支援施設や当社の特例子会社URテラスで行っています。ただお客様にご提供する上では、あくまで商品を気に入ってご購入いただきたいと考えていますので、店頭でそういった説明はあまり行っていません。お陰様でcommpostは色々な所から評価いただき、環境省の<Good Life Award>やグッドデザイン賞も受賞しています。」

commpost商品

未来ある若者の皆さんへ

―最後にアワード参加者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

宮さん

「今、世の中には、日本国内外に関わらず、環境社会課題が沢山あります。きっと皆さんの周りにもあるはずです。まずは皆さんの身の周りの課題にまず気づくこと、そしてなぜそうなっているのだろうというなぜの部分を大事にして、考えていくことが、将来の力になると私は考えています。このコンテストを通して皆さんにとって多くの学びがあることを願っています。」

宮さん

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