SDGs探究Library

SDGs探究AWARDS2024

和洋九段女子中学校高等学校(team ami)
SDGsすごろく
こだわりを詰め込んだすごろくでSDGsを広めたい

和洋九段女子中学校高等学校のグループ「SDGsすごろく」は、SDGs探究AWARDS2019(以下、アワード) 中高生部門で優秀賞を受賞されました。受賞後、取材やラジオ出演など、出会ったことのない人たちとの関わりが増えたという皆さん、当時は中学3年生でしたが、高校2年生になった今、2年前のことを振り返ってくださいました。現在team amiとして活動しているメンバーの小林華果さん、戸嶋みさとさん、安田早希さん、池谷帆乃さん、織田あすかさん、指導にあたられた水野修先生にお話しを伺いました。

和洋九段女子中学校高等学校 グループ「SDGsすごろく」

学習発表展の作品でAWARDSに参加

―AWARDSに出された作品「楽しく学ぼうSDGsすごろく」ができた経緯を教えてください

私たちが作った「SDGsすごろく」は元々、毎年行われる学習発表展の中の1つの作品として制作したものでした。学習発表展で有志が集まって、SDGsを拡げる発表をすることに決まり、楽しんで学べる遊びの要素をもったものとして、すごろくを作ることにしました。たまたまメンバー全員が参加したことがあった、水の問題をすごろくで学ぶという体験をヒントに、水だけではなく、SDGsの17の目標すべてを扱ったすごろくを作ることにしました。そうして出来たすごろくや私たちの活動について知ってくださっていた保護者の方や水野先生にアワードのことを教えていただいて、エントリーできるようにすごろくを紹介する動画を作成しました。

和洋九段女子中学校高等学校 「SDGsすごろく」

―すごろくや紹介動画を作るにあたって、工夫や苦労はありましたか?

すごろくを作るときは、SDGsの17の目標を全部叶えるための関係性を考えることにこだわり、それにとても苦労しました。1つの目標を叶えると、他の目標も叶えられるという流れがあると考え、それらの関連性を形にすることにはこだわりました。お互いにどのような影響を与え合うのか、付箋に全部書き出して、机の上いっぱいに並べて考えました。そこから進めなくなったときは苦労しましたが、付箋をグループ分けしたり、つなげたりして、辻褄のあうように形にすることができました。
SDGsの難しいイメージを壊すこと、広めるだけでなく楽しく学んでもらうこと、さらにゲームとしての面白さも保つこと、誰一人取り残さないということを大事にしてすごろくを作りました。すごろくの競争性だけでなく、ゲットしたものを交換することで、ゲームの世界と現実の世界をリンクさせました。
グループでの制作だったので、それぞれの時間を確保することや、情報を共有することも苦労した点です。すごろくを制作したのは夏から秋にかけての2か月ほどでしたが、なかなか全員が集まることは難しい状況でした。ですから、みんなで相談できるときには、集中して話合うようにしていました。期限を決めて進めることや、それぞれが参加できたときには、進めた内容を次に参加できる人たちに書き残して、状況が常に共有できるように工夫しました。
アワードにエントリーするための紹介動画は、さらに短い期間で制作しました。そのときには朝学校が開く時間から閉まる時間までずっと学校にいて作業していました。動画は長くならないように3分以内でと水野先生に言っていただき、その時間の中で出来る限りすごろくの魅力を伝えられるように、動画を作るための原稿やスライド、映像編集など、それぞれが得意なことを分担して制作しました。動画を作るということは新しいチャレンジでしたが、雑音が入らないように、エントリー締切ギリギリまで撮りなおしたり、音声だけ別撮りしたり、最後の最後までこだわって作りました。

―こだわりが詰まった作品だったんですね。水野先生はどんな風に見ていましたか?

正直、はじめにすごろくを作るということになったとき、私は17の目標のうちのどれかに絞った方がよいと思っていました。17の目標すべてを扱うのは難しいだろうなと。しかし、生徒が全部で作ると言ったので見守っていました。結果、彼女たちの方が正解でしたね。すべての目標を扱うことでゲームとしても面白くなりましたから、彼女たちの想像力が素晴らしかったです。
すごろくの出来がよかったので、このままにしておくのはもったいないと思っていたところにアワードのことを知り、チャレンジしてみることを勧めました。自信をもってもらったり、成長の機会になったりすればという想いもありました。ただ、私は指導するというよりも、生徒たちがやりたいことや作りたいものを実現するために、場所を確保したり、指導できる先生を確保したり、国連広報センターなど外部の人に見てもらう機会をつくったりと、サポートしただけです。あとは、生徒たちを信じて、私自身も楽しむようにしていました。そうでなければ、続けられないですから。

和洋九段女子中学校高等学校 水野先生、小林さん、戸嶋さん、安田さん、池谷さん、織田さん

すごろく制作やアワード参加を通しての拡がりと成長

―アワード参加後、何か変化はありますか?それぞれに教えてください。

小林さん「受賞したことで、自信につながりましたし、自分たちのアクションを皆さんに知ってもらえる機会が増えました。新聞社やラジオの方から声をかけてもらって、さらに多くの人に知ってもらえるきっかけになりました。自分たちも改めてSDGsの大切さや難しさの理解を深めましたし、誰一人取り残さない、世界中の協力が必要だと感じました。」

池谷さん「ラジオでインタビューを受けるなど、色々な人とかかわる機会が多くなりました。これまで、外に出て活動することがなかったので、もっと色々な人とつながり、関われるようになりたいと感じました。」

安田さん「活動をする前は、発表することに苦手意識があったのですが、グループでの活動を通して、1人じゃない、誰かが助けてくれるということを実感し、発表することに対して緊張しすぎることがなくできました。これを機に、発表での苦手意識が払拭できたと感じています。」

戸嶋さん「私たちは中学1年生の頃から興味のある17目標を1つもっていましたが、その問題だけではどうにもならないのが作成したすごろくですし、逆に興味のある番号が違っても、話し合えるのがSDGsのいいところで、SDGsの誰一人取り残さないことに繋がっていると、作りながら感じていました。外部の方と交流することで、自分たちについて振り返りができましたし、SDGsについてもっと知りたいという気持ちが強くなりました。」

織田さん「発表動画を作るとき、映像を担当していましたが、映像に興味がわきましたし、力がついたと思います。将来は自分だけが作りだせるものを、こだわりを持って取り組みたいと思っています。」

―水野先生からみて、生徒の皆さんは成長されましたか

最後まであきらめない粘り強さが高まりましたね。締め切りギリギリまで、作品もエントリーシートも毎日、毎時間やり取りをしていました。私からダメ出しもしましたし、躓く瞬間も何度もあったと思いますが、最後まで色々な人をうまく味方につけて、巻き込んでいましたね。すごろく自体もとても工夫されていて、さまざまな要素のいいところを上手に組み合わせているんです。その取捨選択の力もついたと思います。成長した点は挙げればきりがないですね。
受賞を通じて、学校間や生徒間の繋がりのきっかけにもなっています。交流が深まっていますし、生徒にとってもいい機会になったと感じています。

取材を終えて

2019年度は表彰式を行えず、運営としても初めて「SDGsすごろく」のメンバーからじっくり話を聞く機会でしたが、すごろくも発表動画も、クオリティが高いと感じていた理由がわかるインタビューになりました。ただ楽しいゲームを作るのではなく、そこにはしっかりとしたSDGsへの理解があるように感じました。もちろん、中学1年生から学習として学んでいたことが基礎になっているのでしょうが、みんなにちゃんと伝えよう、こだわりを最後まで貫こうという活動を通して身に付いたもののように思います。先生方が自由にさせてくださったから最後まで頑張れたと生徒の皆さんが言っていた通り、中高生の発想と先生方のサポートがあれば、大人が想像もできないものが作れると感じる機会になりました。

和洋九段女子中学校高等学校 受賞作品