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SDGs探究AWARDS2023

SDGs探究AWARDS2021
受賞作品

学生部門優秀賞

「楽天市場」においてアパレル商品のサステナビリティが価格に与える影響
-エシカル消費の促進に向けて-

武井梨佐子 慶應義塾大学

  • SDGs Goal. 12つくる責任 つかう責任

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受賞者からのコメント

この度は優秀賞という栄誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。

本研究は、エシカル消費のメリットを実証研究によって明らかにしたい、との思いから始めました。

「エシカルファッション」との出会いは高校生の時でした。手の届く安価な洋服を購入していましたが、お気に入りの洋服ブランドが労働者を低賃金で働かせたり、売れ残った商品を大量に廃棄したりしていると知りました。そこで、自ら加害者になっていたことに衝撃を受け、消費行動を変える必要性を感じました。

このような問題意識から、本稿は「楽天市場」の商品約1万点を対象に、環境への配慮を示す「認証ラベル」の効果を検証しました。分析の結果、認証は大幅な価格プレミアムを持つ一方、顧客満足度には有意な負の影響がありました。これを踏まえ、レビュー機能の改善と認証の周知による販売促進を提言します。コロナ禍を経て通販の需要と環境問題への危機感が増大する中、本稿が認証付き商品の取引を推進する手がかりとなれたら幸いです。また、この度の受賞を励みに、私自身も更なる行動に繋げていきたいです。

最後に、2年間ご指導くださった松浦寿幸先生、そしてこの論文を評価してくださった審査員の皆様に、心より感謝申し上げます。

武井梨佐子慶應義塾大学

審査員からのコメント

近年、企業や商品のブランドイメージに大きな影響を与える要素として、エシカル(倫理的)な側面が注目されている。しかし、日本では、エシカルファッションは価格の高さにより、消費は停滞している。本論では、 GOTS 認証を受けたアパレル商品データ(楽天市場の商品データ13,074 件)を用いて、「価格プレミア」「顧客満足度」に対する影響を統計分析により検証され、分析結果に基づきエシカル商品の販売促進方法について提案されている。今後、様々な影響変数を用いて分析をすることで、エシカルファッションを推進する強力な根拠を提示できる可能性がある。新たな社会での課題解決において、ビッグデータの活用・分析は重要であり、その点も評価した。