SDGs探究Library

SDGs探究AWARDS2024

SDGs探究AWARDS2023
審査員総評

近畿大学 総合社会学部 講師 保本 正芳 先生

近畿大学 総合社会学部 講師
保本 正芳 先生

『SDGs探究AWARDS』にエントリーしてくださった皆さん、誠に有難うございました。今年も多くの素晴らしい取り組みを拝見し、心から感動しています。

2023年はコロナ禍からの脱却し、経済活動は正常化となりました。経済活動が活発になるほど、SDGsを意識することはより重要となります。皆さんが提案するプロジェクトは、持続可能な社会の構築に向けた新たなアイデアや取り組みを示しています。国際協力や地域コミュニティの活性化はもちろんですが、特にAIの活用による社会課題解決の提案が見られたことは大変興味深いものであり、技術革新がSDGs達成に与える可能性を改めて感じました。

2030年まであと6年という期限が迫っていますが、達成に向けては多くの懸念があります。しかし、皆さんの熱意と創造力を見る限り、私たちが目指す持続可能な未来への道はまだ開かれています。重要なのは、熱意を持ち続けて活動を持続することです。今後の皆さんの活動が、より良い未来の実現に向けた貴重な一翼を担うことを心より願っています。

株式会社ツナグラボ 代表取締役 中西 將之 先生

株式会社ツナグラボ 代表取締役
中西 將之 先生

SDGs探究AWARDSも5年目を迎え、「SDGs」や「探究」という言葉が年々教員や生徒さんたちにとってもずいぶん身近になったのだなと実感しています。ただ、身近になったゆえに「SDGs」も「探究」も「やらされ感」を持って取り組んでしまっていて「手段の目的化」が起きているような作品も数多くありました。そんななか、今回のアワード表彰の特徴としては斬新なアイデアもありましたが「継続的な」取り組みをいくつか高評価とさせていただきました。また、ChatGPTも登場し、簡単に「答えらしきもの」が出てくるなか、「自分ごと」から始めて、「課題を発見」し、アクションすることがとても大切だと考えています。自分のテーマを見つけ、課題解決を目指すプロセスで「ワクワクしているか」どうか、そしてそのプロセスに手数・足数のあるものを評価しました。まずはやってみよう精神を大切に、探究活動を楽しんでください。

香里ヌヴェール学院 中学校・高等学校校長 池田 靖章 先生

香里ヌヴェール学院学院長兼中学校・高等学校校長
池田 靖章 先生

SDGsがスタートして、7年が経過しました。実際、今年は折り返し地点として、中間報告が上がりましたが、コロナの影響もあって思っていた以上に改善が見られていません。非常に厳しいレポートが報告され、世界は混沌としていることを痛感しています。さて、そもそもSDGsは何のためにスタートが切られたのでしょうか。改めて、考えてみますと「人類の存続」がテーマとなっていることを思い出しました。

このままでは、人類が安定してこの世界で暮らし続けることができなくなるのは自明です。その危機感から、世界中のさまざまな立場の人々が話し合い、課題を整理し、解決方法を考え、2030年までに達成すべき具体的な目標を立てました。

それが「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」だったはずです。

コロナがある程度終息した今、改めて人類は世界の課題に向き合う必要性があると思います。本アワードでは、若い人間たちが必死にSDGsに対して向き合っている姿を見ます。それは人類の希望であり、2030年までに少しでもよりよい世界を実現する一縷の望みとなればと思っています。

株式会社ルカコ 抱っこひも収納カバー専門店 ルカコ 代表取締役 仙田 忍 氏

株式会社ルカコ抱っこひも収納カバー専門店 ルカコ代表取締役
仙田 忍 氏

SDGsという言葉の認知が広がり、SDGsはもちろんですが、今年は【探究】だったり、【多様性】という言葉をより応募作品から見受けられた印象がしています。量より【質】、そして【継続】、規模よりも【個々の強み】を生かした作品が増えてきました。SNSが発達し、AIが一般の人でも使えるようになり、より個性が発信しやすくもあり、逆に個性を表現するのが難しくなってきたようにも感じます。働き方も多様化し、情報量も圧倒的に増え、『普通』とは?と違和感さえ覚える時代に突入したと感じます。情報量や関わる環境によって、格差が生まれてきている事も感じます。どれだけいい作品があっても知識があっても、知ってもらわなければ、使われなければ価値が生まれない事を考えれば、たくさんの人に出会い、行動・失敗し、挑戦し継続する、応援したくなる努力をしている人でありたいと今年の応募作品を見て、私自身改めて気が引き締まりました。来年度も【表現する場】【探究するきっかけ】としてたくさんの学生が、一歩を踏み出してもらえたら嬉しいです。今年は応募するだけで終わりではなく、中学生・高校生・大学生・大人も含め垣根を越えて、全国の同じ興味を持つ探求する仲間同士が交流できる場を提供いただけることになったことに感謝いたします。

株式会社アッテミー 代表取締役 吉田 優子 氏

株式会社アッテミー 代表取締役
吉田 優子 氏

今年度は従来の探究テーマに加え、アップサイクル商品の開発、教員の働き方改革などの新しいテーマを見かけるようになりました。さまざまな探究テーマがある中で、皆さんが選んでくれたその課題の重要度や難易度よりも、ご本人たちが当事者意識をもち、主体的に探究活動に取り組んでいるのかを重視し1点1点の応募書類を見させていただきました。周囲の大人が関わっていた時に、誰の想いがエンジンとなっているのかは重要な点だと感じています。また、先行研究や実験をもとにしていた場合、そこに自分たちならではの取組みや視点がどの程度あるのかも見させていただきました。

発表形式については、昨年度以上に多様になり、ポスター発表、論文、プレゼン動画に加え、アプリやゲーム開発、ゆっくり動画形式、TikTok風おもしろ動画等がありました。自分たちの想いや活動を最も相手に伝えられる表現方法を中高校生が選べており進化を感じました。

探究学習に関する表彰の場が増えていますが、立派なテーマを取り扱うことや表彰されることが価値のすべてではありません。「面白いんじゃないかな、これ何とかしたい、調べてみようかな」そんなあなただけの好奇心、社会への疑問が中心にあることは欠かせないと思います。結論が失敗でもいいと思います!自分の想いをきっかけに、やりきってみることが最大の価値だと思います。