SDGs探究AWARDS2020
審査員総評
近畿大学 総合社会学部 講師
保本 正芳 先生
『SDGs探究AWARDS』にエントリーしてくださった皆さん、誠に有難うございました。今年度は、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の拡大により、学校内での探究活動が中々出来ない状況のため、応募が少ないかと思っておりましたが、昨年を大きく上回るエントリー数と聞き、非常に驚いております。
Covid-19の拡大で海外では、罰則を伴う行動の禁止や制限を設けた国が多く、これにより経済活動の縮小し、大気汚染が深刻な中国やインドでは大幅な改善が報告されました。一方、経済活動の低下は、失業、貧困、教育などに悪影響をおよぼすという負の側面が見られました。コロナ禍で、改めて経済活動の発展と社会問題解決の両立の難しさを示し、 SDGsへの取り組みの必要性はさらに高まっています。
これからは以前の社会に戻る訳でなく、新たな社会に向けてさらに変化していくでしょう。新たな社会に向けて、皆さんの一人一人が最大限の力を発揮し、協力しあって、持続可能な社会を作ってほしいと思います。皆さんの今後の活躍を期待しています。
株式会社ツナグラボ 代表取締役
中西 將之 先生
コロナ禍で、探究活動も様々な制約があり、学びだけでなく学校生活にも様々な変容が求められた一年でしたね。そんな中、約2000作品、約3000名もの生徒・学生さんがこのアワードに参加いただいたことに深く感謝申し上げます。
たくさんの作品を見させていただいた中で、私がふと感じた疑問を紹介します。
「研究」と「探究」の違いとはなにか?
研究はたくさんのことを調べ、時に実験や先行研究などと比較検討して新しい事実(たとえ失敗に終わったとしても)を導き出すこと。
探究は自分や仲間への問いから始まるものかなと思っています。どれだけの「問い」が生まれたか?壁にぶつかっても、アクションを止めなかったかどうか。仲間と話し合っているうちに自分たちのアイデアやとりくみにワクワクしましたか?そのプロセスこそが探究なのです。
SDGsには17のゴールがあります。このゴールは私たちの未来地図です。誰ひとり取り残さないために、ほんの小さなことでも一人ひとりができることがあるはずです。 こドは応募したらおしまいではありません。やらされ研究や、やらされ探究にならないために、ぜひ「問いを立てる」ことからスタートしてみてください。
香里ヌヴェール学院中学校・高等学校校長
池田 靖章 先生
SDGs探究AWARDSにたくさんの応募頂き、ありがとうございました。
昨年同様、たくさんのエントリーの中から、優秀・最優秀を決めるのは本当に難しかったです。私は、中高生部門をメインに審査させていただきましたが、10代の子どもたちの世界の人々や環境に目を向ける意識や考察、アクションが総じてよかったですね。また授業などでの実践から個人実践につながる研究も多く、学校での取り組みの素晴らしさを触れることができ、審査中感動の日々でした。SDGsの「誰一人を取り残さない」というスローガンがある中で、どうやって取り残さないようにするのかを子どもたちが考えている姿は、私を含めて、我々大人たち自身が考えさせられます。大人たちは、いつも「とわいえ論」に支配されます。それが社会でもあるのでしょうが、未来を生きる子どもたちは、その社会で暮らす覚悟なのです。大人の都合で、子どもたちの未来を壊してしまうことを理解する必要があるのだと、応募作品を見ながら考えさせられます。
新型コロナウイルスによって、実は貧困率は上昇中です。世界中が苦しみを共有する中で、我々はどんな行動をすることが世界の平和につながるのか考えていきましょう。また来年度もエントリーお待ちしております。
株式会社ルカコ抱っこひも収納カバー専門店 ルカコ代表取締役
仙田 忍 氏
SDGs探究AWARDSに応募いただいた、そして関わってくださった皆様ありがとうございました。
今回初めての審査メンバーとして参加させていただき、すごい数の応募数にまずは圧倒されました。学校の授業の中で活動された作品、授業外でもたくさんの時間を使って探究された作品。最優秀賞の作品は【足踏み式消毒スタンド】という時代を表現した作品で問題を探究し、誰でも簡単に創れる行動を促す資料をアウトプットしているアクションが素晴らしいと決定しました。
どこを優先させるかで残念ながら受賞作品とはならなかった作品もあります。
面白い作品も多く今回受賞できなかった作品の中でも是非世の中に知っていただきたい作品も多くありました。素晴らしい作品が多い中でも探究した時間や熱意、そしてアクションができているかは重要視させていただきました。
探究、そして行動と継続。すべて大変な労力と努力、時間を費やします。
今後みなさんの人生において素晴らしい経験となることと思います。
私が大切にしている事は【わくわくすること】【常識を疑う事】【今、行動する事】です。
SDGsはきっかけにすぎず、まずは【自分】を見つめなおす事からスタートするのもいいのかもしれません。小さな一歩やその行動が10年後20年後のなにかを創ります。
来年もこのSDGs探究AWARDSが行動のきっかけになりますように。
関西SDGsプラットフォーム事務局
(JICA関西)
田和 正裕 氏
この度はSDGs探究AWARDS2020にご参加いただきありがとうございました。皆さんからの応募作品はどれもが素晴らしい内容で、受賞者を絞り込むのが正直とても難しいものでした。どの応募作品もSDGsの達成に貢献するアイデアや取り組みであり、これからの我々の社会を豊かで、サステナブルなものにする可能性に満ちたものばかりでした。
このため我々審査員は、自分たちの感性から受賞作品を選ぶことにより、「作品の持つ可能性を摘み取ってしまわないか」、「皆さんへの間違ったメッセージとならないか」などに悩み、長時間、そして夜遅くまで主催者の皆さんとともに議論し、受賞作品を決めました。本当は全作品に受賞してもらいたい思いです。
審査員として皆さんにお伝えしたいのは、この「SDGs探究AWARDS2020」の応募で皆さんの取組みが終わるのではなく、始まりに過ぎないということです。どんなにすばらしいアイデアもアイデアのままで終わらせては意味がありません。実際に活動し、うまくいかない場合は、工夫によりそれを乗り越え、少しでも課題の解決に繋げることに本当の意義があると思います。是非、様々な課題に関心を持ち、課題解決に向けて具体的な活動をしていただければと思います。