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SDGs探究AWARDS2023

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受賞作品

学生部門優秀賞

「木になる紙」の公共調達が導く地域振興(脱炭素等)に関する研究

「「木になる紙」の公共調達が導く地域振興(脱炭素等)に関する研究」山口和海 学校法人 永原学園 西九州大学大学院

  • SDGs Goal. 9産業と技術革新の基盤をつくろう
  • SDGs Goal. 11住み続けられるまちづくりを
  • SDGs Goal. 12つくる責任 つかう責任
  • SDGs Goal. 13気候変動に具体的な対策を
  • SDGs Goal. 14海の豊かさを守ろう
  • SDGs Goal. 15陸の豊かさも守ろう
  • SDGs Goal. 17パートナーシップで目標を達成しよう

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受賞者からのコメント

この度は、多くの応募作品の中から栄誉ある「優秀賞」を頂戴し、大変光栄に思います。

私の主な研究フィールドである佐賀県佐賀市は、公共調達による中山間地域の振興(森林整備・環境保護・経済支援等)を行うため、商品価値の低い「間伐材」を有効活用して商品開発した九州発の官民協働プロジェクト「木になる紙」の取組みを、2009年度から開始し、現在も継続しています。

開始直後は「九州産間伐材」を活用していましたが、その後は「地産地消」の取組みをより強化し、地元「佐賀産間伐材」のみを活用した「佐賀の森の木になる紙」の調達へと深化させました。

そして、現在は更なるステップアップとして、2021年度末には公共調達が生み出した環境価値(「木になる紙」に付加されているカーボン・クレジット)を無償で取得し、佐賀市のCO2の総排出量と相殺(オフセット)することで、脱炭素に貢献する新たな取組みを開始しました。

この新たな取組みと「木になる紙」特有の売上金の一部を森林所有者へ支給する還元金などと合わせ、佐賀市は森林保全を始め、CO2削減による環境保護や中山間地域の振興策につなげ、「地域循環共生圏」の充実・発展を目指しています。

「木になる紙」の取組みは、今や滋賀・愛媛・大阪など東日本に向けて拡大中であり、紙一枚から思い遣るエシカルな精神は、消費者市民社会の育成にも寄与しています。このような消費活動を通じて社会貢献につながる商品が、他にもっと誕生してくれることを願っています。

山口和海学校法人 永原学園 西九州大学大学院

審査員からのコメント

「木になる紙」プロジェクトは、佐賀市の地元間伐材の有効活用を通じて、地域の森林整備と経済支援を結びつける取り組みです。この取り組みは、高品質な製品を生み出すだけでなく、2021年よりカーボンオフセットの取り組みを始め、地域の環境保護とCO2排出量の削減にも寄与しています。その成果は、循環型社会の継続性を示しており、佐賀市での成功事例は他の自治体にも波及し、「木になる紙」は既に多くの自治体で導入されています。山口氏の研究は、地域社会における持続可能な取り組みの典型例であり、今後の活動も地域の未来に希望をもたらすことが期待されます。